第16回英語スピーチ・コンテストの審査を終えて

審査委員長・東洋英和女学院大学 国際社会学部教授 竹下裕子

16回かながわ小・中学生英語スピーチコンテストが、盛況のうちに終了いたしました。不安定な天候が続き、当日のお天気を心配していましたが、9月末らしい日となり、安心いたしました。入賞者にはもちろんのこと、惜しくも入賞できなかったかたがたにも、大きな拍手をお送りします。出場者の保護者やご家族の皆様、先生方やお友達には、コンテスト当日に向けて多大なサポートをいただいたことに対しまして、深くお礼申しあげます。

今年のパブリックスピーキング(小学生)の課題をMy Best Friendとさせていただきました。英語のfriend という単語を語源的にさかのぼると、「愛する」という意味に行き当たります。つまりfriendには「愛する人」にという意味が込められています。小学生や中学生の頃に、温かい気持ちをもって友達と接してほしい、愛情豊かな友人関係を築いてほしいとの願いをこめて、このテーマを選びました。パブリックスピーキングの部のスピーチには、温かい思いがたくさん詰まっていましたので、とても嬉しく思いました。

大人になると、friendとの関係は複雑化・多様化します。昔からの友達は旧友、一番親しい人は親友、共に学べば学友、異年齢間の友情には忘年の友、故郷を離れた人には郷友、志を共にする同友、厳しい言葉をかけてくれる争友、そして戦争をする国には戦友もいます。可能性をたくさん秘めた若い人たちには、たくさんのfriendsを作っていただきたいと願っています。プライベートライフでも、仕事上でも、たくさんの友達ができることでしょう。友達のとコミュニケーションの言語が、日本語だけでなく、英語もでもあれば、友達の数も種類も広がります。豊かな言語生活は、豊かな人間関係を生みます。今回のスピーチコンテストの出場者全員が、そのような豊かな人生を送ってくださると信じて疑いません。

日本には、英語を学習する環境が整っていますが、英語を使う環境は決して豊富とは言えません。それでも10年前と比べれば、日本国内でも英語のニーズが増えてきました。5年後、10年後にはさらに増えていることでしょう。けれども、人々が日常的に英語を話すわけではない日本では、英語使用環境は乏しいのです。グローバルな未来に向かって歩いていく若い人たちを思うと、私たち大人は、英語を使う機会を提供する責任があると考えています。そういう意味で、かながわ小・中学生英語スピーチコンテストは、大人の役割を果たしていると感じています。

かながわ小・中学生英語スピーチコンテストは、曲田光雄先生の考えに共感して集まった、審査員を含めた多くのボランティアスタッフの協力により、運営されています。ご協力くださった方々に感謝申し上げるとともに、今後、ますます多くのかたのお知恵とお力をお借りし、このコンテストがさらに盛況となりますことをお祈りいたします。



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