第三回英語スピーチ・コンテストを振り返って

審査委員長・駒澤大学名誉教授荒井良雄 

 「一人一人が主役の日」のキャッチフレーズの通り、参加者全員が立派に主役を務めたのが、何よりも良かった。途中で暗誦文が出てこなかったり、覚えたはずのスピーチ原稿の文章を忘れたりした出場者もいたが、とにかく諦めずに、粘り強く、自分の持ち時間を最後まで頑張りぬいた勇気は、次の機会の貴重な経験として、生かされるに違いない。一人一人が、大勢の観客を前にして、自分の持ち時間を、自分なりに使い切ったのだから、それぞれが主役を演じたと言っていいだろう。

 今回は、小学生の出場者全員の発音が立派で、これは英語の学習で一番大切な点だけに、日頃の訓練の成果が上がっていた。差がついたのはイントネーション(抑揚)とデリヴァリー(表現)である。イントネーションは発音と密接な関連があって、正しい発音で、声の高低を含めて、文章の意味からくる強弱のリズムを間違えず、マイクの助けを借りても、観客全員に聞こえる発声で、暗誦文の内容を過不足なく、効果的に伝えた人が入賞した。入賞者と入賞を逃した人との差は、ほんの少しであった。入賞できなかった場合の欠点の一つは、過剰なジェスチャーにある。スピーチは演劇と違って、言葉が主役で、ジェスチャーはあくまで脇役である。言葉を生かすための適度なジェスチャーは最高だが、過剰になると間延びがして、かえって逆効果で、発音や抑揚よりも、身振りの方へ観客の注視がそれてしまう。暗誦文の内容が要求する最小限のジェスチャーにとどめておく方が、スピーチの内容をずっと良く伝えることができる。

 中学生の部の自由課題のスピーチに関しては、発音や抑揚や表現はもとより、自分で作ったスピーチ原稿の内容が大切になる。将来の夢や自分の体験など、よく聞くありきたりの主題や内容でも、自分の言葉によって、短い時間内で、起承転結をはっきりさせて、やさしい英語で、自信をもって、観客に堂々と自分の考えを表明した生徒が入賞したが、小学生の部と同様、賞を逃した人との差は僅少で、どのスピーチも、とても良かった。

 審査を担当した七名のネイティヴは、アメリカ、イギリス、カナダ、オーストラリア、ニュージランドなど、英語を母国語とする国々の先生方であったのは、英語が世界語となっているだけに、非常に望ましかった。正しい英語の音声表現に国籍は無く、発音が正しければ、世界のどこでも英語でコミュニケーションができる。その点でも、発音が良かった今回の出場者全員の将来が、とても楽しみである。

 英語は使って覚えるのが一番で、スピーチ・コンテストに参加して、大勢の人前で、あがらずに話す訓練をしておくのは、国際化した現在の日本の生徒にとって、かけがいのない絶好のチャンスである。オリンピックの精神を生かして、勝ち負けでなく、参加することに意義を見出していただきたい。"Everybody can be today' s STAR in this speech contest. You can make full use of your time by yourself alone. Please take this golden chance and do your best in recitation and speech . Good luck to your English learning!"

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